当時まだ武蔵美の学生だった私は「美術手帳」か何かの紙面でこの“クリンクル”を見て、強烈なインパクトを受けた事を今でも覚えています。(もちろん当時は小松誠さんといえば「雲の上の大作家」で、今のように普通にお話できるようになるとは思ってもみませんでしたが、、)
小松さんは武蔵野美術短期大学の工芸デザイン学科で陶磁器を専攻し、卒業後同研究室に勤務したのち、スウェーデンのGustavsberg
製陶所のデザイン室で3年ほど仕事をしました。
帰国後、埼玉県行田市に独立工房を作り、現在に至るまで制作活動を続けているのですが、その間には、日本国内はもちろん、アメリカやイタリア、スペイン、スイスなど世界各国のプロダクトデザイン展や陶芸展に出品し、また当然といえば当然ですが、多くの賞も受賞しています。
何しろ、「パブリック・コレクション」としてはニューヨーク近代美術館(MOMA)にクリンクルシリーズの作品をはじめとして10点が入っています。
そのほか、イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館、カナダのモントリオール装飾美術館、イタリアのファエンツァ国際陶芸美術館、スイスのローザンヌ装飾美術館、岐阜県現代陶芸美術館など多くの美術館に「パブリック・コレクション」として選ばれた小松さんの作品は数十点にもなるのです。
こういう輝かしい経歴を説明すると、何だか近寄りがたい人のような感じがしますが、実際の小松誠さんはとても気さくで優しい方です。
1999年から武蔵野美術大学の工芸工業デザイン学科の教授をなさっていて、陶磁器講座の授業には私もたまに伺うのですが、若い学生達(何故か女性が多いのは小松先生の人気のせい???)に囲まれた小松さんの授業は、何だかとても和気あいあいとした雰囲気です。
とはいえ、磁器の肌も美しく、繊細な仕上がりで研ぎ澄まされたフォルムの小松さんの作品の数々を見ていると、やはり「相当に完璧主義で自分に厳しく、繊細な人に違いない」と確信してしまいます。
小松さんのホームページがあり、そこに書かれている下の文を読むと小松さんの物作りの考え方が良くわかります。
|