去年の12月に秋山さんの日本刺繍の本が出版されました。
ここ数年、若い女性の間で「手芸」や「着物」など日本的なものに感心が高まっているそうですが、
日本刺繍の古典的なモチーフはデザイン的で可愛いものが多いので、馴染みのない世代には
特に現代的で魅力的に見えると思います。
本の中で紹介されていますが、雪の結晶をデザイン化した「雪花文」。松をかたどった「松文」。
雀や兎をモチーフにした「ふくら雀」や「兎文」などは日本の文様として馴染みぶかいモチーフですが、色や表現の微妙な違いでとても現代的で魅力的な刺繍になっています。
こんなワンポイントの刺繍が入った袋物や室内履きなんてあったら可愛いなあ、と思います。
それにしても、本の写真や作品展で実際の刺繍を見ると「細かい!」の一言に尽きます。
絹の糸は2本を合わせて撚ってから針に通し、一目一目刺してゆくそうです。
ものすごく繊細で、根気の必要な技術です。
緻密に刺した刺繍は立体感があり、糸の方向によって微妙に色も違ってみえます。
そういう効果も計算したうえで針目の方向や繍い方の種類を選ぶそうです。
秋山さんはサーフィンやヨットをしながら仕事場ではこんなに繊細な仕事をしていた訳だったのでした。
そうかあ「サーファーでヨットマンの日本刺繍家」というのも意外性があって良いのかも?ですね。
でも海でサーフボードを持った秋山さんに会って話をしたとしても、職業が「日本刺繍家」だと思う人は絶対にいないと私は確信します。
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